「健康とは」でも記しましたが、健康の定義は、WHO(世界保健機関)の憲章のものが広く使われています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。」 (日本WHO協会仮訳)
この3つの要素はどのような意味を含んでいるのでしょうか。
- 肉体的に満たされた状態 (肉体的健康)
- 精神的に満たされた状態 (精神的健康)
- 社会的に満たされた状態 (社会的健康)
肉体的健康
五体満足で無病な状態というのが最も共感を得られるのではないでしょうか。
ただし、それだけだと年を重ねるにつれて不健康になる一方になってしまいますし、生まれ持って健康になれない人もいることになってしまいます。
五体満足
身体の如何なる部分も欠けていることなく備わっていることという意味。
五体とは頭と両手両足など具体的な部位を示すのではなく、全身のことを表現する時に使う言葉です。
肉体的健康とは、体に物理的な問題が有るとか無いとかではなく、自身の体の状態を受け入れたうえで、できる範囲の改善や補助を得ることで、満たされていると感じることができるかどうかだと思います。
例えば、
- 持病があっても、食事や薬などで進行を抑制したり改善できたりすること
- 車いすで生活していても、段差をスロープにすることなどで自身での移動が可能となること
精神的健康
心配事や悩み事、心の病がない状態というのが最も共感を得られるのではないでしょうか。
人は基本的に安心したいと思っています。
それだけに、あらゆる物事に対して不安な考えを持ってしまうのでしょう。
そう言ったことからも、何の不安もなく生活している人はまずいないと思います。
楽天家と思われる人でも、内面には何かしらの不安は持っているのではないでしょうか。
ただし、それだと誰も健康になれないことになってしまいます。
精神的健康とは、心配事・悩み事・心の病が有るとか無いとかではなく、自身の置かれている状況を受け入れたうえで、不安を直接的あるいは間接的に解消することで、満たされていると感じることができるかどうかだと思います。
例えば、
- 仕事で疲れやストレスが溜まっているが、趣味で気分転換することで仕事の問題は根本的には解決していないが気分が楽になること
- 心の病を患っているが、それを理解してくれる人がいること
社会的健康
一番ピンとこない要素かもしれませんが、家族、友人、仕事の関係者と良好な人間関係を築き、身の回りの人を始め、世の中に何かしら貢献できている状態というのが最も共感を得られるのではないでしょうか。
人は基本的に存在を認められたいと思っています。
とは言っても、身の回りのすべての人と良好な人間関係を築くことは不可能だと思います。
ただし、それだけだと健康になれない人もいることになってしまいます。
社会的健康とは、良好な人間関係や世の中への貢献ができているとかできていないとかではなく、身の回りの人あるいは世の中に対する自身の存在意義を感じることで、満たされていると感じることができるかどうかだと思います。
例えば、
- ある人と対立してしまったが、別の人を守ることができたこと
- 何気なくしていたことに対して感謝されたたこと
このように考えてみると、3つの要素はどれか1つが満たされた状態でないと、他の要素も満たされた状態であると思えることは難しいのではないかと思います。
「肉体的」「精神的」「社会的」健康が、それぞれ関連しながら人々の健康は成立していて、人によって、そして経過的に「健康」の内容は異なるものなのだと思います。
WHOが提示する健康の定義は、あらためて健康について考えさせられ、健康でいるための行動・思考を示してくれているような気がします。