ヨーグルト、外国から伝わった食べ物ですが日本の食卓にすっかり定着しています。
その理由を考えてみると、以下のようなものが挙がると思います。
- 健康に良い印象がある
- 味や食感が良い
- デザート的な位置付けなので、日々の食事に付け加えやすい
- 手間のかかる調理が不要
- シリアルや果物を合わせることで飽きない
- 価格が手頃
ヨーグルトの種類も食べる人も様々なので、一概に上記のとおりだとは言えませんが、同様の項目が挙がる食べ物はなかなか無いと思います。
そんなヨーグルトですが、実際どのような食べ物なのでしょうか。
ヨーグルトとは?
ヨーグルトは、乳を乳酸菌などで発酵させて作る食品です。
そのため、発酵食品と呼ばれる食品に含まれます。
主に牛乳が原料に使われますが、山羊、羊などの乳でも作ることはできます。
生乳より保存性が良い特徴があります。
日本では、乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)で「発酵乳」に分類され、以下の規格で管理されています。
1 成分規格
無脂乳固形分※: 8.0%以上
乳酸菌数又は酵母数(1ml当たり): 10,000,000以上
ただし、発酵させた後において、摂氏75度以上で15分間加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌したものは、この限りでない。
大腸菌群: 陰性
※無脂乳固形分とは、乳脂肪分以外の固形分(蛋白質、糖質、ビタミン、ミネラルなどの栄養成分)のことです。
2 製造の方法の基準
a 発酵乳の原水は、食品製造用水であること。
b 発酵乳の原料(乳酸菌、酵母、発酵乳及び乳酸菌飲料を除く)は、保持式により摂氏63度で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌すること。
基本的な製造方法
ヨーグルトは、原料乳の中で種菌(乳酸菌など)を増殖させて作ります。
販売されているヨーグルトの製造の流れは以下のとおりです。
- 殺菌のために原料乳を沸騰させる
- 種菌に影響がない温度まで冷ます
- 種菌を加える
- 種菌の増殖に適した温度に保つ
原料乳を栄養に乳酸菌が増殖する際に糖を分解して乳酸を放出する。
乳酸の増加により乳が酸性になると乳内のカゼインという蛋白質が凝縮し固まる。 - 種菌の増殖を抑えるために冷所で保存する
製造には以下の要素が関与しています。
これらの条件を調整することで、成分・風味・食感などが異なるヨーグルトに仕上がります。
- 原料乳
- 種菌
- 温度
- 時間
- 酸素濃度
- 添加物
牛乳とヨーグルトの成分比較
ヨーグルトには、原料である牛乳に含まれる栄養素はすべて含まれています。
製造条件によって異なりますが、日本食品標準成分表によると以下の通りです。
※主要な成分を抜き出しています。
種類 | 単位 | 牛乳 | ヨーグルト | 牛乳に対して |
カロリー | kcal | 67 | 62 | やや減少 |
蛋白質 | g | 3.3 | 3.6 | やや増加 |
脂質 | g | 3.8 | 3.0 | やや減少 |
炭水化物 | g | 4.8 | 4.9 | ほぼ同じ |
ミネラル | g | 0.7 | 0.8 | ほぼ同じ |
カルシウム | mg | 110 | 120 | やや増加 |
乳糖 | g | 4.4 | 2.9 | 減少 |
ブドウ糖 | g | 0 | 0.1 | やや増加 |
ガラクトース | g | 0 | 0.8 | やや増加 |
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
原料である牛乳と比較すると、目立った違いは乳糖の減少です。
これは、乳酸菌が乳糖を栄養として分解したためです。
(乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合したものです)
牛乳を飲むとお腹が緩くなる方は、乳糖を分解する酵素が少ない場合があります。
カルシウム補給に牛乳を飲めない方は、ヨーグルトのほうが合う可能性があります。
豊富なヨーグルトの種類
スーパーやコンビニなどでは、実に様々なヨーグルトが見つけられます。
プレーンヨーグルト
生乳や脱脂粉乳、クリーム、乳タンパクなどの乳製品のみを調合し発酵させたタイプ。
添加物は加えられていません。
ハードヨーグルト
発酵させた後、寒天やゼラチンなどで固めたもの。
砂糖や果汁などを添加し甘みを増しているのが多い。
ソフトヨーグルト
発酵させた後、かき混ぜて滑らかにしたもの。
砂糖や果肉などを添加したものが多い。
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ドリンクヨーグルト
ヨーグルトを細かく砕いて液状にしたもの。
飲みやすくするために添加物を加えたものが多い。フローズンヨーグルト
ヨーグルトを凍らせたもの。
食べやすくするために添加物を加えたものが多い。
その他、特徴のあるヨーグルト
カスピ海ヨーグルト
家森幸男 氏が世界でも有数の長寿地域として知られているヨーロッパ東部のコーカサス地方から日本に持ち帰ったヨーグルト。
種菌には、乳酸菌(クレモリス菌FC株)と酢酸菌を用います。
カスピ海ヨーグルトは粘り気が強い特徴がありますが、これはクレモリス菌が作るEPS(エキソポリサッカライド)という多糖の影響です。
クレモリス菌は生きたまま腸に届く性質を持つ数少ない乳酸菌であり、EPSは人の消化管では消化されないため食物繊維のように血糖値の上昇を緩やかにする働きをします。
そのため、カスピ海ヨーグルトは腸内環境を整える働きが強いといわれています。
ギリシャヨーグルト
ヨーグルトから乳清や水分を取り除いたものです。
ヨーグルトとチーズの中間くらいの硬さです。
水分や糖質などが減り、その分蛋白質や脂質が濃縮されています。
豆乳ヨーグルト
原料乳に豆乳を使用したヨーグルトです。
アレルギーなどで牛乳が体質に合わない方に特にお勧めのヨーグルトです。
ヨーグルトの強み
発酵食品であるヨーグルトには、
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く含まれているため、腸内環境改善の期待が持てます。
腸は、食べ物の消化・吸収だけでなく免疫機能の中枢的役割をしていますので、腸内環境を整えることは健康な身体を維持するうえで重要です。
食べる際に気を付けたいこと
加熱は避ける
ヨーグルトに含まれる乳酸菌などは、ヒトにとって有益な働きをする善玉菌と呼ばれるものです。
生きたまま腸に辿り着かなくても、善玉菌の成分自体が健康に役立ったり、元々腸にいる善玉菌の栄養になったりするので効果は期待できます。
隠し味にヨーグルトを入れて調理するのも有りだと思いますが、善玉菌以外にも熱により変性してしまう成分もあり得えます。
ヨーグルトの利点をより多く得るには加熱しないで食べるのが良いといえます。
食後に食べる
食後に食べるのが良いとされています。
空腹時に食べると胃酸の濃度が高く乳酸菌などの善玉菌が死んでしまう確率が上がります。
参考記事
【発酵食品】健康に良い種類と理由についての考察
【ビフィズス菌・乳酸菌】善玉菌の代表格、活かすために気を付けたいこと
【消化器】調子が良いと家計にも優しい、体内と外界をつなぐ加工場
さいごに
私たちの腸にいる善玉菌は、加齢や運動不足などの影響で、日々減っていく傾向にあります。
ヨーグルトは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く含まれているため、腸内環境改善が期待できます。
腸は、食べ物の消化・吸収だけでなく免疫機能の中枢的役割をしていますので、腸内環境を整えることは健康な身体を維持するうえで重要です。
ヨーグルトは、種類が豊富なだけでなくシリアルや果物を加えることで味も食感も簡単に変えられることも魅力です。
是非、腸内環境の改善を意識して、いろいろ試してみてください。