食品

【イヌリン】菊芋(キクイモ)ではなく食物繊維とオリゴ糖に注目する理由

 

健康に関する情報で「イヌリン」という言葉を目にします。

天然のインスリンなどとも呼ばれ、健康づくりに効果的という取り上げられ方をしています。

その情報のほとんどには「菊芋」という言葉も含まれています。

「イヌリン」や「菊芋」という、普段あまり見聞きしない情報には、つい興味を持ってしまいます。

そういた観点でテレビや雑誌で取り上げられる対象になっているのかもしれません。

そこで今回は、「イヌリン」と「菊芋」の関係や、他に代わるものがないのか考察してみました。

 

イヌリンとは?

イヌリン (英:inulin) は、主にキク科やヒガンバナ科の植物において貯蔵多糖として作られる糖類です。

貯蔵多糖とは、植物が根や地下茎などに栄養源として貯蔵するもので、糖が複数つながった構造をしています。

ジャガイモなどに含まれるデンプンも貯蔵多糖の一種です。

デンプン
ブドウ糖で構成される多糖

イヌリンの構造

ブドウ糖に果糖が1個結合すると砂糖になります。
砂糖に果糖が1~3個結合したものを特にフラクトオリゴ糖といいます。
イヌリンは、砂糖に果糖が1個以上結合したものの総称です。

炭水化物・糖質・食物繊維の関係

イヌリンもデンプンも多糖類です。
もう少し広く分類すると、どちらも炭水化物(糖で構成される有機化合物)です。

それでは、イヌリンとデンプンの違いはどこにあるのでしょうか。
それは、消化できるかできないかです。
デンプンは消化器で消化できますが、イヌリンは消化できません。

炭水化物は、消化できるものを「糖質」、消化できないものを「食物繊維」と分類されます。
つまり、デンプンは「糖質」、イヌリンは「食物繊維」となります。

 

食物繊維の分類

イヌリンは、食物繊維に分類されます。
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けられますが、イヌリンは水溶性食物繊維です。

 

水溶性食物繊維

海藻類、サトイモ、ゴボウ、オクラ、あしたば、アボカド、果物などに含まれています。
コンニャク芋にも含まれますが、コンニャクに加工されると不溶性食物繊維に変化します。

特性

  • 水分保持力が強く、水に溶けると粘着性のあるドロドロのゲル状になる。
  • 粘着性により胃腸をゆっくり通過するので、腹持ちが良く食べ過ぎ防止になる。
  • 余分な脂質を吸着し体内への吸収を抑え、体外に排泄します。
  • 腸内細菌により分解されるので、糖質の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の上昇を抑える。
  • 腸内細菌により分解されると、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養となり腸内環境の改善につながる。

 

不溶性食物繊維

穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻などに含まれています。
いわゆる"繊維質"な食べ物に多く含まれます。

特性

  • 胃や腸で水分を吸収して膨張することで腸を刺激し、便通を促進する。
  • 膨張することで満腹感を得られ、食べ過ぎ防止になる。
  • 繊維質な食感のため、よく噛んで食べるので食べ過ぎの防止になる。
  • 腸内細菌により分解されるので、糖質の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の上昇を抑える。
  • 腸内細菌により分解されると、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養となり腸内環境の改善につながる。
    ただし、水溶性食物繊維よりは分解されにくい。

 

イヌリンの特徴

イヌリンは水溶性食物繊維なので、水溶性食物繊維の特性は持っています。

また、イヌリンは腸内細菌により分解されることでフラクトオリゴ糖に変わります。

フラクトオリゴ糖とは、玉ねぎなどに含まれる「難消化性オリゴ糖」です。

 

オリゴ糖の種類

オリゴ糖は、結合している糖の種類により幾つかの種類がありますが、腸内細菌による分解のされ方により大きく以下の分類があります。

  • 難消化性オリゴ糖:腸内細菌により分解されるが、吸収できるまでは分解され難く、主に腸内細菌の栄養になる。
  • 消化性オリゴ糖:腸内細菌により分解され、腸内細菌の栄養になるが、最終的には吸収もできる。

「糖が複数結合したもの」且つ「消化できないもの」なので広義には食物繊維に属します。
通常、糖が3~10個結合している多糖をオリゴ糖といいます。
オリゴ糖といっても糖質ではなく、短めの食物繊維といったほうが適切です。

なお、デンプンから人工的につくられたブドウ糖で構成される多糖は、難消化性糖質とも呼ばれています。
通常デンプンは消化できるので食物繊維ではなく糖質に分類されますが、消化器では消化できないよう加工するので難消化性糖質という少々ややこしい名称になっているようです。

以下は、一般的に販売されている主なオリゴ糖です。

 

難消化性オリゴ糖

  • フラクトオリゴ糖
  • ビートオリゴ糖(ラフィノース)
  • 大豆オリゴ糖
  • ガラクトオリゴ糖
  • 乳果オリゴ糖
  • ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)
  • キシロオリゴ糖

消化性オリゴ糖

  • イソマルトオリゴ糖

 

オリゴ糖の効果

オリゴ糖は様々な種類がありますが、「腸内のビフィズス菌を増やして、おなかの調子を整える」という共通の効果があります。

難消化性オリゴ糖は、吸収され難いため、消化性よりカロリーが低い傾向があります。
甘さもそれぞれ異なりますが、砂糖以下というところです。

オリゴ糖は調味料として砂糖の代わりに使えるように販売されています。
その効果は、科学的根拠に基づいて認められおり、特定保健用食品として認められている製品もあります。

市販されているオリゴ糖は、砂糖などを添加して甘さを補っているものが多いです。
詳細については、食品の表示を確認のうえ、お好みの合わせてご利用ください。

参考記事
食品の表示分類

 

どんな食品に含まれている?

イヌリンが多く含まれている食品として、以下が挙げられています。

  • 菊芋
  • ゴボウ
  • タマネギ
  • ニンニク
  • ニラ

 

イヌリン含有量の比較

食品に含まれるイヌリン含有量について詳しい情報がないため、水溶性食物繊維の含有量で比較します。
イヌリン含有量の目安にはなりませんが、参考によく目にする芋と板コンニャクも含めています。
コンニャク以外は、生の状態での含有量です。

※スマートフォンなどの場合、横にスクロールできます。

食品(100g) カロリー
(kcal)
水分
(g)
水溶性
食物繊維
(g)
不溶性
食物繊維
(g)
食物繊維
総量
(g)
蛋白質
(g)
脂質
(g)
炭水化物
(g)
ミネラル
(g)
菊芋 35 81.7 0.5 1.4 1.9 1.9 0.4 14.7 1.3
ゴボウ 65 81.7 2.3 3.4 5.7 1.8 0.1 15.4 0.9
タマネギ 37 89.7 0.6 1.0 1.6 1.0 0.1 8.8 0.4
ニンニク 136 63.9 4.1 2.1 6.2 6.4 0.9 27.5 1.4
ニラ 21 92.6 0.5 2.2 2.7 1.7 0.3 4.0 1.1
ジャガイモ 76 79.8 0.6 0.7 1.3 1.6 0.1 17.6 0.9
サツマイモ 140 64.6 0.9 1.8 2.8 0.9 0.5 33.1 0.9
サトイモ 58 84.1 0.8 1.5 2.3 1.5 0.1 13.1 1.2
コンニャク
(加工品)
5 97.3 0.1 2.1 2.2 0.1 微量 2.3 0.3

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ゴボウとニンニクには、目立って多くの水溶性食物繊維が含まれていることが分かります。
菊芋とタマネギ、ニラには、水溶性食物繊維の量は目立って多くありませんが、および低カロリーなことが分かります。

このデータからは、菊芋が特別多くの水溶性食物繊維を含んでいる訳ではないといえます。
ただ、菊芋は一般的に販売されている野菜ではありませんが、徳島県など一部の地域で日常的に食されているようです。
そういった地域では、イヌリンを含む菊芋を量的に多く摂取していることが、健康維持につながっていると考えられます。
ゴボウ、ニンニク、タマネギ、ニラも体に良い認識はあると思いますが、日常的に多くの量を摂取している野菜とはいえないと思われます。

いわゆる芋類も食物繊維をそれなりに含んでいますが、やはり主な貯蔵多糖がデンプンであることで、血糖値の上昇を抑える点では不利になります。

加えて、コンニャクのカロリー、蛋白質、脂質、炭水化物の低さが目立ちます。

 

摂取量の目安

摂取量は、イヌリンとしてではなく、食物繊維としての目安をご参考ください。

食物繊維の摂取量の目標値は、年齢・性別によって多少異なりますが、1日20g以上です。

通常の食事では、食物繊維を摂り過ぎることはありませんが、サプリメントなどで補給する場合は注意してください。

参考
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」

注意点
食物繊維は、過剰に摂取するとお腹が緩くなることがありますので、摂取目標量を目安に対象に合わせてご調整ください。
由来となる植物によってアレルギーを引き起こすことがありますので、イヌリンに限らずご注意ください。

 

イヌリンの効果的な飲み方や食べ方

通常の食事で摂取する場合は、食後の血糖値上昇の抑制や食べ過ぎ防止のために、食物繊維をなるべく先に取ることが望ましいです。
サプリメントなどで摂取する場合も、同様の理由で食前に取ることが良いといえます。

 

さいごに

イヌリンは・・・

  • キク科の植物において貯蔵多糖として作られる糖類です。
  • 水溶性食物繊維です。
  • 腸内細菌によりフラクトオリゴ糖に分解されます。

フラクトオリゴ糖は・・・

  • 腸内細菌特に善玉菌の栄養となり腸内環境を整える助けになります。
  • 難消化性オリゴ糖に分類され体内に吸収はされないので低カロリーです。

菊芋は・・・

  • 特別多くの水溶性食物繊維(≒イヌリン)を含んでいる訳ではないといえます。
  • 一般的に販売されている野菜ではありません。

イヌリンの効果は、水溶性食物繊維としての特性からきています。

イヌリン、そして菊芋に期待される効果は、イヌリンや水溶性食物繊維を含む他の食品でも期待できます。

 

食物繊維の摂取不足が生活習慣病の発症に関連することは広く知られています。

食物繊維の摂取量の目標値は、年齢・性別によって多少異なりますが、1日20g以上です。

食物繊を含む食品は多くありますが、意識しないと普段の食事からはあまり摂取できていない可能性があります。

普段の食事で目標量を摂取することが望ましいですが、難しい場合、健康食品などを利用することもできます。

食物繊維摂取量を補うために、オリゴ糖も利用できます。

腸内にいる細菌を育てるために摂取する意味もありますが、ヨーグルトなどでビフィズス菌や乳酸菌を腸に届けてあげるとより効果的です。

 

食物繊維とオリゴ糖の特性を意識し、普段の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

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